STORY
「キノはどうして旅を続けているの?」
「ボクはね、たまに自分がどうしようもない、愚かで矮小な奴ではないか? ものすごく汚い人間ではないか? なぜだかよく分からないけど、そう感じる時があるんだ。……でもそんな時は必ず、それ以外のもの、例えば世界とか、他の人間の生き方とかが、全て美しく、素敵なものの様に感じるんだ。とても、愛しく思えるんだよ……。ボクは、それらをもっともっと知りたくて、そのために旅をしている様な気がする」
―人間キノと言葉を話す二輪車エルメスの旅の話
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時雨沢恵一
私が時雨沢恵一(注・ペンネーム。この場合は筆名)になってから、つまり処女作の『キノの旅 the Beautiful World』を世に出してから、二十年という歳月が流れたようです。本人は七~八年くらいの気持ちなのですが、カレンダーは私より嘘をつきません。
これだけの長い間、作家を続けてこられたのは、ひとえに私の頑張りが一割くらい。一緒に仕事をしてきた方々―、つまり黒星紅白さん、担当編集さん、製造流通販売、メディアミックスに携わってくださった方々のご尽力が倍の二割くらい。
そして残りの七割は、これを読んでいるあなた方、つまり読者の皆様のおかげです。「面白い」と読んでくれる皆様がいたから、私はずっと書き続けることができました。これはシンプルだけど揺るぎない事実です。ありがとうございました。本当に、ありがとうございました。
こうやって書くと引退宣言みたいですが、全然そんなつもりはなく、しれっと次の二百年に向けて頑張っていく所存です。
まずは今年、二十周年企画がいろいろと動いていますので、ご期待ください!
時雨沢恵一でした!
黒星紅白